今月の表紙
肝細胞癌
星 利良
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.436
発行日 1993年5月1日
Published Date 1993/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901575
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肝の悪性腫瘍は,原発性肝癌と転移性肝癌に分けられ,原発性肝癌は肝癌全体の10%の割合で認められる.
原発性肝癌には,肝細胞由来の肝細胞癌(hepatocelluar carcinoma)と,胆管上皮由来の胆管細胞癌(cholangiocellular carcinoma)がある.このうち肝細胞癌は,わが国の全悪性腫瘍の6〜7%を占めており,好発年齢は,40〜60齢で男女比は2:1で,男性に多い.肝硬変(特に乙型)と密接な関連があり,肝癌の80%が肝硬変を伴っているといわれている.他臓器への転移が比較的少なく,また癌細胞は腹水中にも出現しにくい.肝内門脈枝の腫瘍塞栓は高頻度に認められ,これによる閉塞が起こると急激な門脈圧亢進症状を示す.検査所見では,GOT,アルカリホスファターゼ,γ-GTPなどが高値を示す.肝細胞癌の25%にHB抗原が陽性を示しているという報告もある.腫瘤は軟らかく,肉眼的には結節型・塊状型・びまん型の3型に分類される.
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