今月の表紙
甲状腺乳頭癌
星 利良
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.731
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901648
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細胞診における甲状腺癌の診断は他臓器の癌と比較すると,一般的な悪性細胞の判定基準に当てはまらない細胞異型の乏しいものが多い.しかし,その“細胞の出現態度と核所見”は良性疾患と異なる特徴があり,この特徴像を把握することが診断につながる.
甲状腺癌の組織型は,乳頭癌(papillary carcinoma),濾胞癌(follicular carcinoma),未分化癌(undifferentiated carcinoma),髄様癌(medullary carcinoma),特殊型に大別されるが,そのうち乳頭癌は,甲状腺癌の約90%を占めるといわれ,特に日本では諸外国に比較して乳頭癌の占める割合が高く,日本人の生活環境や体質と深く結びついた腫瘍の1つといえる.女性に好発し,若年から老年まで各年齢層に発生するが50歳前後にピークを見る.リンパ行性に頸部リンパ節に転移することが多いが,その予後は一般に良好であり,10年生存率は約80%である.
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