今月の表紙
子宮頸部の小細胞癌
荒井 祐同
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.694
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902465
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子宮頸部の上皮性悪性腫瘍は「子宮頸癌取扱い規約」(頸癌規約分類)において,扁平上皮癌,腺癌,腺癌・扁平上皮癌混合型,カルチノイド,未分化癌に分類されている.扁平上皮癌は,角化の有無および細胞の大きさから角化型,大細胞非角化型,小細胞非角化型に,腺癌は頸管円柱上皮に類似の内頸部型腺癌とその他の腺癌に,腺癌・扁平上皮癌混合型は,腺扁平上皮癌,腺棘細胞癌,腺癌・扁平上皮癌共存型にそれぞれ細分類されている.また,未分化癌は分化度が極めて低く,上記の癌のいずれにも分類できない上皮性悪性腫瘍とされている.
子宮頸部に発生する上皮性悪性腫瘍のうちで小型細胞からなる癌は,上記の小細胞非角化型扁平上皮癌,カルチノイドのほかにいわゆる小細胞型神経内分泌癌(small cellneuroendocrine carcinoma;SCNC)がある.このSCNCは,病理組織学的,免疫組織化学的,電子顕微鏡的に特徴的所見が確立されてきたため,未分化癌の中にSCNCが含まれていることがわかってきた.また,SCNCは扁平上皮や腺上皮などへの分化傾向を示すことがあるため,同一腫瘍内に扁平上皮癌や腺癌の成分が認められることがある.このため小細胞非角化型扁平上皮癌や腺・扁平上皮癌混合型の中にもSCNCと思われるものが含まれている場合がある.
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