明日の検査技師に望む
求められる生涯教育
清瀬 闊
1
1新東京病院
pp.400
発行日 1993年5月1日
Published Date 1993/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901565
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医学の進歩は著しいものがあるが,それは生物学,音響学,電磁学などの進歩によって広く支えられていることは間違いのないことである.もちろんCTもMRIもエコーもその一端を示すにすぎないし,HIVなどと騒がれるのも進歩あればこそのことである.
私が医師になったころ,医師が尿検,血算,肝機能などを診療の片手間に行っていた.それが医師の宿命でもあるように思われており,この分野を他人の手に委ねるとは夢にも考えられないことであった.私は検査に興味があって,1952〜1953年ごろ蛋白分画を斉藤先生の方法でデュボスクの比色計を使って計ってみたところ,何とγ-グロブリン分画がマイナスになってしまったことがあった.私の測定技術が著しく悪いことを証明するものであった.もちろん比色計も悪かったことも事実であるが,つくづく検査を専門にやる人がほしいと思った.当時インターン生がその代わりのような仕事もしていたので,某先生に血算を依頼したところ,かなり多い白血球数であった.私はそれを信じたばかりに大恥をかいた記憶がある.そこで彼に聞きただしてみると,何とやみくもに答えたものであった.さらに問い詰めると,彼はやりかたをまったくというほど知らなかった.ニュートンリングの作りかたも,カウントのしかたも完全には知らなかった.学校でも教えていないので,金井さんの本を頼りに自分で勉強するより方法がなかった時代であった.
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