増刊号 臨床化学実践マニュアル
話題
1.実試料標準物質
微量金属元素標準試料
桑 克彦
1
,
梅本 雅夫
2
1筑波大学医療技術短期大学部
2(財)化学品検査協会
pp.208
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901533
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人体に対して毒性の強い鉛(Pb),カドミウム(Cd),セレン(Se)を含む物質を取り扱う作業者の健康管理をするうえで,各々の元素の血液中の濃度測定が必須となっている.測定は主にフレームレス原子吸光分析装置によってなされているが,血液中のマトリックスによる妨害の程度が測定条件(灰化・原子化温度,キュベットの形状・材質・劣化,マトリックスモディファイヤーの種類・濃度,バックグラウンドの補正方法など)の影響を受けやすいことから,測定値の機器間差,日間差および正確さの問題が生じており,標準試料の必要性が高まっていた.
標準試料の原料としては取り扱いが容易で安全性が高く,ヒトに類似した成分組成を有するウシ血液が適している.外部からの汚染がないように注意深く採取されたウシ血液に適量のPb,Cd,Seを添加し3濃度に調製された標準試料は,清浄なポリプロピレンチューブに封入後,-20℃以下で冷凍保存されている.
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