増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
1.電解質・無機成分
(4)Cu,Zn
堀田 正敏
1
,
前畑 英介
2
1西九州予防医学研究所学術部
2三井記念病院中央検査部
pp.54-57
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901485
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はじめに
日常検査において異常値が出現する場合,いくつかのケースがある.本稿では測定法(測定機器)に問題がなく,精度管理(QC)された状態にあって,検査する周辺環境が十分に整っていることを前提として,検体中の目的成分に妨害物質が混在したり,採血時の負荷などが起因となってデータ的に解離するケースを指摘してみたい.すなわち,異常値に対する考えかたは,①目的成分以外の共存物質の干渉,②生理的変動,③病態の変化によるものかであるが,①,②はサンプリングにまつわる事故を招きやすい.
無機成分の銅(Cu)および亜鉛(Zn)は生体必須微量金属でFeを含め血中には100μg/dlほど存在する.その存在様式は,Cuの90%以上はセルロプラスミン(α2-グロブリン領域,以下Cp)と結合し,Znの60〜70%はアルブミンと結合している.両金属とも,通常の食事で生体に必要な量は摂取されるため欠乏症は少ない.代謝の面では,両金属とも金属酵素の活性中心の構成成分として多くの反応に関与しており,Cuは主に造血機能との関連が強く,Znは核酸,蛋白代謝に関与し成長との関連性が強い.
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