特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
各論
1 生体に必要な元素
6)亜鉛(Zn)
牧野 鉄男
1
Tetsuo MAKINO
1
1神奈川県立衛生短期大学臨床化学教室
キーワード:
体液・組織中亜鉛
,
血液細胞分画
,
原子吸光法
,
生理的変動
,
亜鉛欠乏症
Keyword:
体液・組織中亜鉛
,
血液細胞分画
,
原子吸光法
,
生理的変動
,
亜鉛欠乏症
pp.1413-1417
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900339
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測定の意義
生体鮮おける亜鉛(Zn)は,網膜,前立腺,精液,肝,腎,膵,骨および毛髪中にkg当たり1,500μmol超という高レベルで存在し,耳下腺唾液,筋,皮膚,血液細胞中において150~1,500mg,さらに血漿,汗,母乳,尿中で15μmol,そして髄液中が0.15μmolと最も少ない.大部分のZnは高分子リガンドである蛋白との結合型で,しかもメタロエンザイムの形で特に核酸・蛋白代謝において生化学的・栄養学的に重要な役割を果たしている.さらに肝・腎ではなんらかの侵襲を受けた際に防御的に働くメタロチオネイン(Zn蛋白体)としての免疫学的重要性も知られている.
Znの血液細胞中の存在は,赤血球の炭酸脱水酵素に代表される.違った生理的機能を示し,しかも大きさの異なるこれらの血液細胞のうち白血球に最も高濃度で存在するが,他の細胞との量的な差はそれほど大きくない.細胞1個当たりの濃度(fg)比はおよそ赤血球1:血小板0.25:白血球5である.そして血小板および白血球中のZnの大部分もまた非透析(蛋白結合)型で存在するらしい.
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