トピックス
p53の免疫組織化学
五十嵐 久喜
1
,
椙村 春彦
1
,
喜納 勇
1
1浜松医科大学第一病理学教室
pp.1119-1120
発行日 1992年12月1日
Published Date 1992/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901359
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p53は,初めマウスの細胞株(SV40のT抗原でtransformしたもの)において,T抗原と特異的に結合する蛋白質として同定された.当初癌細胞株などで発現が増加しているため,腫瘍遺伝子のようなものとして認識されていたが,後にこれが,もともとの遺伝子が突然変異を起こしていたものであり,実際の野生型のほうは,腫瘍の抑制遺伝子としての機能を持つということがわかった.その証拠の1つに,多くの腫瘍においてこの遺伝子の欠失や点突然変異が高頻度で起こっていて正常の機能を失っているという事実がある1,2).
より直接的には突然変異の起こっている腫瘍の細胞株に野生型の遺伝子を導入するとその細胞の腫瘍原性が失われる,つまり抑制されるという実験もある.いずれにせよヒト腫瘍で変化している遺伝子の中では頻度が最も高く,その生物学的な特性は多くの研究者の注目を集めている2).
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