特集 図説 胃と腸用語集2012
病理
p53
和田 了
1
1順天堂大学附属静岡病院病理診断科
pp.844
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113413
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ヒトp53遺伝子は第17番染色体短腕上に存在し,分子量53,000,393個のアミノ酸から成る蛋白質であり,(1) 損傷したDNAを修復する蛋白質を活性化する,(2) DNA修復が困難な細胞のアポトーシスを誘導する,(3) 細胞周期の制御に関与するなど,生命維持に極めて重要な機能を有する遺伝子である.
遺伝子産物であるp53は,1979年,SV40(simian virus 40 : 肉腫ウイルスの1つ)によってtransform(形質転換)された細胞に発現する大型T抗原と結合する蛋白質として同定された.SV40でトランスフォームした細胞には正常細胞の100倍以上のp53量が見い出され,p53のさらなる変異はトランスフォーム能を強くすることなどから,当初,p53は癌遺伝子と想定されていた.
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