増刊号 尿検査法
II.各論
23.微生物検査
4)尿路感染症の迅速診断法
菅野 治重
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
pp.292-293
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901155
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はじめに
他の感染症と同様に,尿路感染症においても迅速に治療を行う必要があるが,他の領域の感染症に比べ,迅速検査の開発が遅れている.この理由のひとつとして,尿路感染症は髄膜炎や肺炎などに比べて重症例が少ないことがあげられる.しかし基礎に糖尿病や血液疾患を持つ患者では,容易に菌血症を発症し重篤化することもあり,患者の背景因子によっては迅速な診断と適切な治療が必要となる.
尿路感染症の診断には,尿路における炎症の存在の確認と,起炎微生物の検出が必要である.炎症の確認には膿尿の確認が重要であるが,尿中エステラーゼや亜硝酸塩の検出なども迅速検査として用いられている.
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