増刊号 尿検査法
II.各論
19.ホルモンおよび関連物質
6)性腺機能関連
(2)プレグナンジオール,プレグナントリオール
坂田 寿衛
1,2
,
山田 祐士
2
,
佐藤 和雄
2
1社会保険横浜中央病院産婦人科
2日本大学医学部産婦人科学教室
pp.230-231
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901131
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はじめに
プロゲステロン(以下P4)は,卵巣の黄体および胎盤で合成され,子宮に働き受精卵の着床と妊娠の維持に大きな影響を及ぼしている.つまり,黄体機能不全によってP4が低下すると,着床障害や妊娠初期の流産を引き起こすといわれている.したがって,卵巣黄体機能と胎盤機能の指標として,血中P4の値を測定することはきわめて有用で,またRIAまたはEIAによって簡便に測定できるため広く用いられている.しかし血中P4は日内変動,日差変動があるため,1回の測定では診断は困難であり,日を変えて測定してその血中濃度の推移から判断しなければならない.
一方,血中P4は図1に示すように,代謝されてプレグナンジオール(以下P2)となり,尿中にグルクロン酸抱合体,つまりプレグナンジオール-3-グルクロニド(Pd-3G)として排出される.この24時間尿中P2は血中P4の1日産生量を反映しており,患者にも無侵襲で,黄体機能あるいは胎盤機能を知るのによい指標となる1〜3).
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