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1.プレグナンヂオールの本態及び化學構造
プレグナンヂオール(pregnandiol以下P.G.と略す)は黄體ホルモン(progesterone)の尿中への排泄體で,progesteroneの還元産物である。分子式はC21H36O2である。 2.黄體ホルモンがプレグナンヂオールとなるまでの過程
progesteroneがP.G.となる過程は極めて複難である。E.C.Hamblen,Catharine Ashley,Margaret Baptistによれば黄體で生産されたprogesteroneが子宮内膜でP.G.に攣換し,肝臓でグルクロン酸と結合してプレグナンヂオール,グルクロン酸ナトリユム(Sodium pregnandiolglucuronidate以下S.P.G.と略す)となり,腎臓臓より排泄されるといふ。Browlle及びVemilngはprogesteroneを予宮摘出婦入に注射するとP.G.の排泄がないことを観察した。Hamblen,Ashlcy,Baptistはこの例と月經周期の黄體期中に子宮内膜を掻爬すると,いままであったP.G.が消失すること等によりこの過程には子宮内膜が必要であると結論した。しかしC.L.Buxtonは4人の子宮摘出婦入に3日間毎日30mg宛progesteroneを注射して,そのうち2人にS.P.G.が排泄されるのを観察し,またBuxton及びWestphalは男にprogesteroneを注射すると大量にS.P.G.が排出されるのをみて,子宮内膜はこの遇提に必要な器官でないことを證明した。P.G.が排泄される時期には子宮内膜は分泌期にあるのが普通である。しかし時に増殖期でP.G.が排泄されることがある。これはprogesteroneが子宮内膜に作用して分泌期性變化を起すに,一定の時間を要するために,P.G.が排泄されてゐるにかゝはらず増殖期にあるのである。
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