増刊号 尿検査法
II.各論
19.ホルモンおよび関連物質
4)副腎皮質関連
(3)コルチゾール
相良 祐輔
1
,
岡谷 裕二
1
1高知医科大学産科婦人科学教室
pp.214-215
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901124
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
副腎皮質からは主に3種類のステロイドホルモン,すなわちグルココルチコイド,ミネラルコルチコイドおよび性ステロイドが分泌されている.コルチゾール(cortisol)はグルココルチコイドの主要ホルモンであり,副腎皮質束状層から分泌され,成人では1日産生量は15〜25mgに及ぶ.コルチゾールの合成と分泌は下垂体のACTHにより調節され,ACTHの分泌は視床下部のCRF(corticotropin releasing factor)により調節されている.CRF,ACTHは血中コルチゾール濃度によって調節され,いわゆるネガティブフィードバック機構を構成している.
血中分泌されたコルチゾールは,その90〜95%がCBG(corticosteroid binding globulin)とアルブミンに結合し,残り5〜10%が遊離コルチゾールとして存在する.血中コルチゾールの大部分は肝,腎で代謝され二重結合およびケト酸の還元により不活性化され,さらにグルクロン酸抱合,硫酸塩として尿中へ排泄される.尿中へ遊離型として排泄されるコルチゾールは,副腎で分泌されるコルチゾールの1%以下と少ないが,蛋白結合型コルチゾールは腎の糸球体を通過できないので,尿中に排泄されるコルチゾール量を測定すれば血中の遊離型コルチゾール濃度の指標となりうる.また,尿中コルチゾール排泄量はコルチゾール産生量とよく相関することが知られている.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.