増刊号 尿検査法
II.各論
19.ホルモンおよび関連物質
2)副甲状腺関連
(1)副甲状腺ホルモン
富田 明夫
1
,
安藤 高宣
1
,
木沢 仙次
1
,
渡部 和近
1
1愛知医科大学附属病院中央臨床検査部
pp.202-203
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901119
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はじめに
副甲状腺ホルモン(PTH)はカルシウム調節ホルモンのひとつとして生体内のCaホメオスターシスにもっとも重要な役割を演じている.このPTHの主な生理作用としては,①骨における骨吸収(骨融解)促進作用,②腎におけるCa再吸収促進作用,P再吸収抑制作用,ビタミンDの活性化(25-OH-Dから1,25-(OH)2-Dへの合成促進)があげられており,腸管におけるCa吸収促進作用はPTHによって活性化されたビタミンDを介するものと考えられている.
副甲状腺から分泌されるPTHは,正常状態ではアミノ酸84個よりなるintact PTH(分泌型PTHともいう)であるが,このintact PTHは血中に放出されると主として肝,腎において代謝されamino-terminal PTH(N-PTH),carboxy-terminal PTH(C-PTH),midregion PTH(M-PTH),その他の小フラグメントに分断される.したがって,末梢血中のPTHはintactのほかこれらのフラグメントの形でも存在する.
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