増刊号 尿検査法
II.各論
15.中毒性薬物
(4)アルカロイド
東海林 洋子
1
,
柳川 明
1
1聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
pp.160-163
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901105
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アルカロイドは植物体内に含有される塩基性含窒素環化合物の総称である.微量で強力な生理活性を示すが,毒性も概して強いとされている.表1にアルカロイドならびに関連化合物の分類を示しておく.数百種類あるアルカロイドのなかでも臨床で繁用されているのはモルヒネであり,鎮痛剤としては代表的な薬剤となっている.その反面,身体的,精神的依存性があるため一般には「麻薬」という総称で呼ばれ,大きな社会問題にもなっている.しかし,日常の臨床の場においては,癌性疼痛や各種疾患に起因する激痛には,今なおその強力な薬理効果から,しばしば用いられているのが現実である.麻薬のうち実際に臨床に用いられているのは麻薬性鎮痛薬と局所麻酔薬である.
日本薬局方に記載されている麻薬は,①ケシから採取される麻薬およびヘロイン(アヘンアルカロイド21種類),②コカ葉から取れるコカアルカロイド3種類,③合成麻薬62種類に大別できる.なお1%以下のコデイン,ジヒドロコデイン,またはこれらの塩類を含有する薬物はこの範疇からは除外されている.
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