増刊号 尿検査法
II.各論
4.非蛋白性窒素化合物
(4)クレアチン
大澤 進
1
1千葉大学医学部附属病院検査部
pp.98-99
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901082
- 有料閲覧
- 文献概要
クレアチンは主に肝,腎でグリシン,アルギニン,メチオニンから合成される.このクレアチンは筋肉内に蓄えられ,ここでクレアチンキナーゼの作用によってATPからリン酸を受けてクレアチンリン酸となり,筋肉収縮のエネルギー源として利用される.クレアチンは1日当たり約2%が非酵素的にクレアチニンとして尿中に排泄されるが,クレアチンは尿細管で再吸収され,成人男子では尿中にはほとんど存在しない.しかし,未成年者や妊婦では少量のクレアチンが尿中に排泄される.
尿のクレアチンは血清濃度が0.58mg/dl以上で尿中排泄がみられ,病的な増加は飢餓,熱疾患,進行性筋ジストロフィー症,甲状腺機能亢進症,糖尿病などで起こる.また,甲状腺機能低下,肝障害では排泄が低下する.尿クレアチン測定の診断価値は疾患特異性の点や新しい診断法の開発によって薄らいできたが,筋疾患では利用されている.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.