技術講座 免疫
抗糸粒体抗体
野口 英郷
1
,
楠 悦子
2
,
水越 和則
2
1自治医科大学医学部臨床病理
2(株)エスアールエル免疫血清部
pp.1119-1126
発行日 1991年12月1日
Published Date 1991/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900891
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サマリー
間接蛍光抗体法(IFA)で検出される抗糸粒体抗体(AMA)は原発性胆汁性肝硬変(PBC)で高頻度にその血清中に検出され,しかも高力価を示す症例が多く,PBCでは診断的役割を果たす.その他にも特発性肝硬変,慢性活動性肝炎,自己免疫性肝炎などでAMAは検出されることがある.この顕在性のPBCは症候性PBC(s-PBC)ともいわれる.また,AMAは健常人でもごくまれには検出される.さらに,AMA検索の普及につれて自覚症状を欠く無症候性PBC(a-PBC)の存在が明らかになった.それゆえ,AMAの検索はPBC患者の早期発見にも大いに寄与している.
AMAには亜型が存在し,とりわけAMA-M2はPBCに特異性が高い.さらに免疫転写法(IB)によれば,AMA-M9はM2をしのぐ早期PBCの診断マーカーといえる.現在の検査上,ルーチン化しているのはM2だけである.
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