検査データを考える
血清酵素異常—[3]ALT(GPT)を中心に
古賀 震
1
,
岡嶋 研二
2
,
宇治 義則
2
,
岡部 紘明
2
1熊本大学医学部第二内科
2熊本大学医学部臨床検査医学教室
pp.253-256
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900074
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例
15歳,男性.既往歴,家族歴ともに特記事項なし.約2週間前から37〜38℃の発熱,頭痛,咽頭痛が続き,近医を受診し感冒として抗生物質の投与を受けたが,解熱せず,1週間前から頸部のリンパ節の腫大に気がついた.皮膚の発疹は認められなかった.来院時の肝機能検査でALP,GOT,GPT,LDHなどが高値を示したため,肝炎を疑われて入院となった.
入院時所見:身長165cm,体重55kg,血圧110/60mmHg,脈拍数72/分(整),体温37.6℃,体格・栄養ともに良好.結膜に貧血,黄疸認めず.また舌,咽頭ともにやや発赤しているが,白斑や口内炎も認めない.リンパ節は,頸部,腋窩部,鼠径部に両側性に小指頭大〜母指頭大の硬い腫瘤として触知し,頸部は特に症状が強く,圧痛を伴っていた.胸部は聴打診上異常なく,腹部において,肝,脾をそれぞれ1/2横指触知した.また神経学的には異常所見は認められなかった.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.