臨床検査のピットフォール
新鮮であるが故に,判定を迷わす悪性細胞
河野 哲也
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター病理部
pp.598-600
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209345
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はじめに
細胞診検査をはじめとする形態検査は,新鮮な細胞像を観察することにより詳細な所見が得られるのが一般的である.例えば,図1aに提示するように新鮮な腺癌細胞では,核と核小体の腫大を認め,核偏在性を呈する.核クロマチンも微細な増量が確認できる.一方,図1bに提示した生理食塩水による細胞変化を受けた腫瘍細胞では,新鮮な腫瘍細胞とは核や核小体の大きさ,核クロマチンの性状が異なってみえ,細胞観察に苦慮する形態となっている.今回,一般的には新鮮な像を呈する細胞での観察が望ましいのであるが,新鮮であるが故に,判定を迷わす悪性細胞について紹介する.
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