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解答と解説
pp.606
発行日 2024年6月1日
Published Date 2024/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209348
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- 文献概要
核酸増幅を行うポリメラーゼ連鎖反応は,“PCR(polymerase chain reaction)”と呼ばれます.反応試薬は,ポリメラーゼ,2種類のプライマー,デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP),マグネシウムイオン(ポリメラーゼの補因子),緩衝液です.PCRは約95℃(変性),約56℃(アニーリング),約72℃(伸長)の温度変化を30サイクルほど繰り返します.PCR産物の特異性には,試薬濃度(ポリメラーゼ,マグネシウムイオン,プライマー),アニーリング温度やサイクル数などが関係します.また,リアルタイムPCR(定量PCR)は,PCR試薬以外に,蛍光色素を標識したプローブを用いて視覚的に増幅産物を確認します.閾値の蛍光値に達するPCRサイクル数(Ct値)により,量的な評価が可能になります.Ct値が小さいほど,標的DNA量が多いことを意味します.
塩基配列(シークエンス)解析を行う方法の1つが,発明者の名前に由来するSanger法です.目的領域のPCR増幅産物をPCRと同じプライマーを用いてシークエンス解析する,ダイレクトシークエンス法が行われています.Sanger法では,ポリメラーゼによる伸長反応を停止させるターミネーターであるジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)を用います.そのため,“ジデオキシ法”と呼ばれます.また,現在は,蛍光色素(dye,ダイ)を標識したddNTPが用いられるため,“ダイターミネーター法”とも呼ばれます.シークエンサーは,伸長反応が停止した末端の塩基の蛍光色を判読し塩基配列を決定する装置であり,塩基置換や欠失などを検出できます.
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