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はじめに
近年,メタボリック症候群を背景に,脂肪肝の患者が増加し,特定健診受診者における脂肪肝の割合は25%を超えると報告されている.脂肪肝はアルコール性脂肪肝および非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)に大きく分類され,特にNAFLDの増加が注目されている.NAFLDは病態がほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver:NAFL,以前の単純性脂肪肝)と進行性の非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)に分類され,NASHの5〜20%は肝硬変や肝癌の発症母地となることより1)、肝線維化の評価とともに脂肪肝(肝脂肪化)の診断は重要である.
病理学的には従来,30%以上の脂肪変性を認めるものを脂肪肝とし,その拾い上げは,超音波Bモードにおける肝実質輝度上昇,肝腎コントラスト,深部減衰,脈管の不明瞭化による診断(図1,表1)が中心的役割を担い,感度,特異度ともに良好であるが,近年,脂肪肝の定義とされた5%以上の脂肪滴1,2)を診断することは極めて困難である.この問題を解決すべく,超音波の減衰を数値化する方法の開発により肝脂肪化の定量評価が可能となり,2022年4月より保険適用となった.
現時点で超音波減衰法による肝脂肪化診断が可能な定量法には,CAP(controlled attenuation parameter)(Echosens社,フランス),ATI(attenuation imaging)(キヤノンメディカル社),UGAP(ultrasound-guided attenuation parameter)(GEヘルスケア・ジャパン社),ATT(attenuation coefficient)(富士フイルムヘルスケア社)がある.本稿では超音波減衰法による肝脂肪化診断について概説する.
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