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CAR-T細胞療法:臨床検査技師の貢献
上村 知恵
1
1前 慶應義塾大学病院輸血・細胞療法センター
pp.500-503
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208676
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はじめに
キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)遺伝子導入T細胞(CAR-T細胞)療法とは,再生医療等製品の1つであるCAR-T細胞を投与する免疫細胞療法のことである.再生医療等製品は「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」で定められ,細胞・組織を加工した製品と遺伝子治療を目的とした製品があり,CAR-T細胞製品は前者のうちヒト体細胞加工製品に類別される(表1)1).
ヒト体細胞加工製品は,その原材料となる細胞が自己(患者自身)由来(自家)か同種(提供者)由来(他家)かでさらに2分され,現在わが国で承認されているCAR-T細胞は患者から採取した自己リンパ球が原材料となる製品である.原材料の患者リンパ球は医療機関で採取して製薬会社に送り,そこで患者リンパ球にCD19を特異的に認識するCARを導入して培養・増殖させて製品化され医療機関へと戻ってくる.
このプロセスの中で患者情報を常に正しく結び付けること(chain of identity)(図1)の維持こそが,臨床検査技師がその役割を発揮させるべき理由となっている.すなわち,輸血管理業務で長らく培ってきた患者の同一性の照合確認,患者への投与記録の保管や,造血幹細胞の細胞調製,保管,投与時の融解などを含めて,患者から採取した細胞由来の製品を正しく当該患者に投与する仕組みの構築と運用は,輸血部門などの臨床検査技師が担ってきた業務であるからである.
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