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腸内細菌目細菌,緑膿菌のコリスチン耐性検査
林 航
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1信州大学大学院総合医理工学研究科医学系専攻保健学分野医療生命科学ユニット
pp.1222-1225
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208531
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はじめに
ポリペプチド系抗菌薬であるコリスチン(colistin:CL)は大腸菌,緑膿菌,アシネトバクター属などの一部のグラム陰性菌に対して抗菌活性を有する.陽性荷電を呈すCLは,グラム陰性菌が保有するリポ多糖体のリピドA構造に結合し,カルシウムイオン(Ca2+)とマグネシウムイオン(Mg2+)を置換することで殺菌的に作用する.国内では2004年にCL注射製剤の承認が取り消されたが,2000年代以降のグラム陰性菌の多剤耐性化を受け,多剤耐性グラム陰性桿菌感染症への“最後の砦”となる治療薬として2015年に再承認された.CLはヒト感染症治療への使用だけでなく,半世紀以上にわたり家畜にも使用されており,近年ではCL耐性菌の出現と急速な拡散が問題視されている.本稿ではCL耐性機構とCL耐性菌の疫学,さらにその検査法について概説する.
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