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はじめに
わが国では,1980年後半〜1990年頃にかけて酵素活性8項目〔AST(aspartate aminotransferase),ALT(alanine aminotransferase),ALP(alkaline phosphatase),LD(lactate dehydrogenase),CK(creatine kinase),γ-GT(γ-glutamyl transferase),ChE(cholinesterase),AMY(amylase)〕について,日本臨床化学会(Japan Society of Clinical Chemistry:JSCC)勧告法が作成された1〜3).
このJSCC勧告法では,国際生化学連合(International Union of Biochemistry:IUB)や国際臨床化学連合(International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine:IFCC)などの国際的な流れを重視し測定温度が30℃に設定されたが,汎用されている自動分析装置の測定温度は37℃であることから,1994年にJSCC勧告法の温度のみを37℃としたJSCC常用基準法(以下,JSCC法)が定められた.ただし,JSCC法は日常検査としての安定性や利便性を考慮していないため,実際にはJSCC勧告法に準じてトレーサブルな値となるように安定性や測定範囲を向上させ,非特異反応を低減させた液状化試薬が標準化対応法試薬として市販されている.
2019年の日本臨床衛生検査技師会臨床検査精度管理調査によると,この標準化対応法試薬は98%以上の施設で利用されており,国内での標準化により施設間差が解消された妥当性のある日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards:JCCLS)共用基準範囲も採用されつつある.
今般,JSCCを中心に,ALP測定試薬のJSCC法からIFCC標準測定法(以下,IFCC法)に準拠したものへの変更が進められているため,その切り替えに際して知っておくべき要点をまとめた.
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