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JSCC標準化対応法
中山 年正
1
1(財)緒方医学化学研究所
pp.557-559
発行日 1997年6月1日
Published Date 1997/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903081
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■標準化対応法とは
日本臨床化学会の標準化対応法JSCC transferable methodとは,1996年JSCCの酵素委員会がERM(常用酵素標準物質,enzyme reference material)および検量用ERMとともに提唱した検査値の統一・標準化のための新しい概念である.これは,ERMまたは検量用のERMの表示値を絶対基準として用い,自施設の測定方法をこれで検量(calibration)することにより,報告値をJSCCの測定体系の値に人為的に合わせる方法である.このようにすれば,自己の施設はJSCCの体系で指定された特定の測定方法を使用しなくとも,報告値は必然的にその測定体系に標準化(standardize)されることになる.
この種の考えかたは,酵素でも従来から存在していた.例えばALP測定における,パラニトロフェニールリン酸を基質として使用しながらKing-Armstrong単位で報告するなどの例である.しかし,これらは各施設の経験的ないしは独断的なものであつて,上記のような定義や方法論は準備されておらず,ましてや用語となるほどには成熟していなかった.一方,実際の日常検査は年々高精度となり,サーベイなどでみられる施設間誤差の大部分が系統誤差で占められる現在,今回のJSCC酵素委員会の標準化対応法(図)は時宜を得た提唱といえる.
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