増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
II 微生物検査
総論
3 検体保存による塗抹所見への影響
検体保存による塗抹所見への影響
石垣 しのぶ
1
,
川上 小夜子
1
,
指田 陽子
1
,
厚川 喜子
1
,
斧 康雄
2
,
宮澤 幸久
1
1帝京大学医学部附属病院中央検査部
2帝京大学医学部微生物学講座
pp.913-915
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102551
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はじめに
塗抹検査は,起因微生物を迅速に推定し,適正な抗菌薬治療を開始するために有用な感染症診断検査である.操作が簡単で短時間で結果が得られることから,近年,感染症の迅速検査として再評価され1),臨床の現場や夜間当直の時間帯にも導入され始めている.しかし,的確な診断を行うためには,基本となる好中球寿命や細菌の種類による特性の違いを理解したうえで,感染症の有無や病態を正しく判断することが必要となる.
塗抹標本は,良質な検体を用いて,提出された検体の品質が変性する前に作製すべきであるが,すぐに実施できない場合には4°Cで保存するのが一般的である2).しかし,保存中の検体の変化についてはあまり知られていない.
本稿では,喀痰中の好中球と細菌の経時的変化について解析し,検体の保存による塗抹所見への影響について述べる.
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