増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド
2章 検査前プロセス
採血後の検体の保存や搬送条件が血栓止血検査に及ぼす影響
松田 将門
1
,
小宮山 豊
2
1福島県立医科大学保健科学部
2北陸大学医療保健学部
キーワード:
検体取扱い
,
検体保存
,
検体搬送
,
凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス
,
外注検査
Keyword:
検体取扱い
,
検体保存
,
検体搬送
,
凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス
,
外注検査
pp.914-920
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209079
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はじめに
血栓止血検査には,前項「採血が血栓止血検査に及ぼす影響」で解説したようにさまざまな検査項目があり,それぞれに適切な採血後の検体取扱い手順がある.本稿ではそのうち,フィブリン析出時間を検出する検査(凝固時間検査)における採血後の検体取扱いについて解説する.具体的には,採血後から検査室に運ばれて到着するまでの間の検体取扱いである.ここでは,検体の“保存”と“搬送”という2つのキーワードが存在する.なお,ここでいう検体保存とは,採血後の検体が検査室に到着するまでの間の“全血”の保存を指す点に注意されたい.検査室に到着した後の保存,すなわち遠心などの前処理をしてから測定するまでの間や測定後の“血漿”の保存については,次項「血漿分離処理」や「凝固検体の保管」を参照されたい.
本稿で解説する検体取扱いに関し,その適切な手順は,日本検査血液学会標準化委員会の凝固検査用サンプル取扱い標準化ワーキンググループが作成した「凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス」(以下,コンセンサス)に明記されており1,2),これを遵守していただきたい.コンセンサスは,先行して発表されている米国の臨床・検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute:CLSI)のガイドライン3)や英国の標準化委員会(British Committee for Standards in Haematology)のガイドライン4)を参考に作成された.つまり,コンセンサスの規定は世界水準といえる.
以下,検体の保存と搬送に大別し,それぞれの注意点を概説する.
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