臨床検査のピットフォール
多発性骨髄腫におけるダラツムマブ治療中の赤血球輸血—検査上の留意点
山田 千亜希
1
,
小幡 由佳子
1
1浜松医科大学医学部附属病院輸血・細胞治療部
pp.154-157
発行日 2020年2月1日
Published Date 2020/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207893
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はじめに
近年,悪性腫瘍や免疫異常に対し分子標的薬が開発されている.多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)の分子標的薬である抗CD38抗体〔ダラツムマブ(daratumumab:DARA)〕は,MM細胞上のCD38を標的とする抗体療法薬である.DARAはMM細胞上のCD38に結合し,補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity:CDC),抗体依存性細胞傷害(antibody-dependent cellmediated cytotoxicity:ADCC),アポトーシスなどの機序によりMM細胞に細胞死をもたらす.一方,CD38は正常な赤血球膜表面にも発現しているため,DARAを投与した患者の検体では,DARAが患者赤血球や赤血球試薬に結合し,輸血検査に影響する可能性がある1).そこで本稿では,DARA投与例での輸血検査時の留意点について解説する.
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