トピックス
自己免疫性水疱症の診断の最前線
氏家 英之
1
1北海道大学病院皮膚科
pp.10-13
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207854
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はじめに
自己免疫性水疱症は,表皮角化細胞(ケラチノサイト)の細胞膜や表皮基底膜部に存在する蛋白に対する自己抗体によって,皮膚や粘膜に水疱やびらんなどの皮膚症状を呈する疾患群です.角化細胞の細胞膜に存在する蛋白に対する自己抗体によって表皮内に水疱が形成される“天疱瘡群”と,表皮基底膜部に存在する蛋白に対する自己抗体によって表皮下に水疱が形成される“類天疱瘡群”の2群に分けられます(表1).また,IgG自己抗体が検出される疾患と,IgA自己抗体が検出される疾患があります(表1).頻度として,水疱性類天疱瘡が最も高く,次いで尋常性天疱瘡や落葉状天疱瘡が高いとされています.天疱瘡群のほとんどの亜型と,水疱性類天疱瘡,粘膜類天疱瘡,後天性表皮水疱症は,中等症以上の場合は厚生労働省の指定難病に含まれます.
診断には,臨床症状に加え,病理組織学的検査と自己抗体の検出が必要です1,2).典型的な症例では診断が容易ですが,非典型的な症例では一般的な検査で自己抗体が検出されないことがあり,しばしば診断が困難です.そこで本稿では,自己免疫性水疱症の診断のために行われる検査法について解説します.
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