臨床検査のピットフォール
体腔液検査:採取管に注意!
石山 雅大
1
1弘前市立病院臨床検査科
pp.1276-1278
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206697
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検査目的の確認
胸水,腹水などの体腔液は髄液と比べ検体量が豊富なため,多数の検査項目の依頼にも対応可能のように思われる.しかしながら,体腔液検査は一般検査の他,生化学検査,微生物検査,細胞検査など依頼が多分野にわたる場合も多いため,必要な検体量や適正な採取管に注意をしなければならない1).したがって,何を目的として体腔液検査が依頼されたのか,きちんと把握したうえでの対応が必要となる.
具体的には,一般検査では細胞数の算定や比重,pHの測定などが挙げられ,生化学・血清検査では総蛋白や糖,LD(lactate dehydrogenase)の他,各腫瘍マーカーなど,感染症疑いであれば微生物検査,腫瘍細胞の疑いであれば細胞検査など,一つの検体で取り扱う分野も検査項目も多数となる.特に細胞検査では,細胞を確保するため検体量も多く提出してもらったほうがよいが,長時間貯留してしまうと細胞変性が起きるため,できるだけ新鮮な検体を提出してもらうことを臨床側にきちんと伝えなければならない.
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