Japanese
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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
8章 白血球系
7 骨髄癌腫症
Bone narrow carcinomatosis
吉川 直之
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1032-1034
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206202
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骨髄癌腫症は,腫瘍細胞が骨髄内に多発性かつ広範囲に転移し,骨髄組織が腫瘍細胞に置換された状態をいう.骨髄には血行性に腫瘍細胞の転移が起こりやすいが,一般的に未分化なものほど骨髄への転移が多く,組織型では腺癌が多い.骨髄癌腫症を来しやすい腫瘍として,上皮性腫瘍では,胃癌,肺癌,乳癌,前立腺癌,甲状腺癌,腎癌など6),非上皮性腫瘍では小児に多い神経芽細胞腫,横紋筋肉腫,ユーイング肉腫(Ewing's sarcoma),骨肉腫などが挙げられる.溶骨性転移と造骨性転移があり,乳癌では溶骨性転移が多く,前立腺癌では造骨性転移が多い.
貧血,腰背部痛,出血傾向が三主徴とされるが,最も多いのは全身倦怠感と腰背部痛である.末梢血のleukoerythroblastosis(白赤芽球症)を契機に骨髄検査が施行され,診断されるケースが少なくない.赤色髄を有する部位への転移が多く,脊椎骨,骨盤骨,肋骨,胸骨,頭蓋,大腿骨などへの転移が知られている.画像検査としては,単純X線,CT,MRI,骨シンチグラフィ,PET-CT(positron emission tomography- computed tomography)などが行われる.骨髄を中心とする広範なリンパ行性,血行性転移によるびまん性臓器浸潤により,しばしばDIC(disseminated intravascular coagulation)やmicroangiopathic hemolytic anemiaを合併する.
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