Japanese
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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
8章 白血球系
6 神経芽腫
Neuroblastoma
水間 知世
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1030-1031
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206201
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神経芽腫は,胎生期の神経堤細胞を起源とする細胞が癌化したものである.腫瘍は副腎髄質および後腹膜部,後縦隔部など交感神経の存在する部位に発生し,カテコラミンを産生する5).神経芽腫は小児期の悪性腫瘍の約10〜15%を占め,白血病に次いで多く,固形腫瘍としては最も頻度が高い.
症状は発症年齢と病期で異なる.悪性度の高いものから自然退縮するものまで,臨床経過は様々である.新生児期では病期4Sを示すことが多く,分娩時に巨大な胎盤,浮腫,貧血,黄疸などの胎児赤芽球症に類似した症状と,多発性肝転移による著明な腹部膨満を認める.乳児期では,新生児期と同様の病期4S,または限局腫瘍例が多い.限局腫瘍例は無症状で,乳児健診などにより偶然発見されることが多い.幼児期では,大きな原発腫瘍と多彩な転移症状が出現する.転移症状としては,脊髄圧迫,腰痛,膀胱直腸障害,下肢麻痺などを起こす.
神経芽腫患者の約70%は診断時に転移がみられる.予後は発症年齢,臨床病期,染色体・遺伝子異常の有無と強く関連する.18カ月未満の発症例は予後良好であり,18カ月以上の発症例は予後不良である.腫瘍組織中のMYCN遺伝子増幅は予後不良因子である.
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