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血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)は,感染症,自己免疫異常,悪性疾患などが契機となり,骨髄内で貪食細胞が増加した結果,血球減少を来す病態である.一次性と二次性があり,ほとんどが二次性である.HPSの分類を→表1に示す7).一次性では,常染色体性劣性遺伝の家族性血球貪食性リンパ組織球症(familial hemophagocytic lymphohistiocytosis:FHL)など,先天性の免疫異常に伴うものが含まれる.二次性の基礎疾患では,感染症,リンパ腫,自己免疫疾患が多い.感染症関連では,EBV(Epstein-Barr virus)関連〔EBV-AHS(Epstein-Barr virus-associated hemophagocytic lymphohistiocytosis)〕が大半を占める.HPSの発症機序には,①サイトカインを介する機序,②自己抗体を介する機序,③免疫複合体を介する機序の3つが考えられている.
EBV-AHSでは,EBVの初回感染や再活性化に伴い発症する.リンパ腫関連血球貪食症候群(lymphoma-associated hemophagocytic syndrome:LAHS)は,B細胞性とT/NK細胞性が半々ずつみられる.B細胞性は高齢者に多く,EBV非関連の場合が多いが,T/NK細胞性は若年層に多く,EBV遺伝子が高率に陽性である.B細胞性の半数はIVL(intravascular lymphoma),T/NK細胞性の半数は鼻および鼻型リンパ腫であり,どちらも肝脾腫と骨髄浸潤を特徴とする.その他に,同種造血幹細胞移植後にHPSを発症する場合がある.
HPSの治療としては,高サイトカイン病態のコントロールとして,ステロイドや化学療法,同種造血幹細胞移植などが行われている.病型により予後は異なり,特にリンパ腫由来のHPSの予後は極めて不良である.
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