Japanese
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増刊号 血液形態アトラス
Ⅱ部 造血器腫瘍以外
8章 白血球系
3 敗血症
Sepsis
吉川 直之
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1024-1025
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206198
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敗血症(sepsis)は,感染によって発症した全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)である.すなわち,感染の存在に加え,SIRSの定義の4項目のうち2項目以上が該当する場合である(→表1)1).
症状としては,発熱,頻脈,意識障害,消化器症状(悪心,嘔吐,下痢,黄疸),乏尿,発疹などが挙げられる.敗血症のなかで,臓器障害,臓器灌流低下または低血圧を呈する状態を重症敗血症(severe sepsis)という.重症敗血症のうち,十分な輸液負荷を行っても低血圧が持続するものを敗血症性ショック(septic shock)という.
重症敗血症/敗血症性ショックでは菌血症を合併している可能性が高いため,すべての症例において,原因菌診断目的に,抗菌薬投与開始前に血液培養を行う.原因となる感染部位は,腹腔内,呼吸器,血流(カテーテル関連を含む),皮膚・軟部組織,尿路などが多い.原因菌としては,黄色ブドウ球菌〔MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus),MSSA(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus)〕,大腸菌,肺炎桿菌,緑膿菌,エンテロバクター属などが多い.
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