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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
6章 成熟T細胞腫瘍
2 Sézary症候群(SS)
Sézary syndrome(SS)
寺島 道子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1002-1003
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206190
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初診時に皮膚以外の臓器に病変を認めない悪性リンパ腫を原発性皮膚リンパ腫と呼ぶ.わが国では,皮膚リンパ腫の約80%はT細胞リンパ腫である.Sézary症候群(Sézary syndrome :SS)は,菌状息肉症(mycosis fungoides, MF)とともに,皮膚T細胞リンパ腫の中で代表的な疾患である.
MFは皮膚リンパ腫の約半数を占め,皮膚病変を初発症状として,紅斑や腫瘤形成をきたす.SSは皮膚リンパ腫の5%以下とまれな疾患であり,60歳以上の男性に多い.紅皮症,全身リンパ節腫脹,脳回転状に切れ込んだ核を有するSézary細胞と呼ばれる腫瘍細胞を末梢血,皮膚,リンパ節に認める1,2).予後は不良で,5年生存率は10〜20%である1,2).MFとSSは,経過中に互いに移行することがあるため,同じカテゴリーに分類される.病期分類は共通のものが使用され,治療方針も似通っている.
SSは,WHO分類第4版では,以下をひとつ以上満たす必要があると定義されている1).
①末梢血でSézary細胞が1,000/μL以上
②CD4陽性T細胞の増加により,CD4/CD8比が10以上
③T細胞系マーカーの一部欠如
予後は不良で,5年生存率は10〜20%である.
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