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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
5章 成熟B細胞腫瘍
6 節外性濾胞辺縁帯粘膜関連リンパ組織型リンパ腫(MALTリンパ腫)
Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma
増田 亜希子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.978-979
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206181
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節外性濾胞辺縁帯粘膜関連リンパ組織型リンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue:MALTリンパ腫)は,粘膜関連リンパ組織の辺縁帯領域のB細胞に由来する低悪性度リンパ腫である1,2).わが国の悪性リンパ腫の8.45%を占め,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)に次いで多い.発症年齢の中央値は61歳で,男女比は1:1.2とやや女性に多い.緩徐に進行する腫瘍であり,大半の症例では病変が限局しているが,DLBCLに形質転換する場合がある.
MALTリンパ腫は,胃(50%以上),肺,甲状腺,唾液腺など生理的にリンパ組織が存在しない部位に発症し,多くは慢性炎症を基盤とする.胃MALTリンパ腫の多くはHelicobacter Pylori(H. Pylori)感染を背景に発症し,H. Pylori除菌治療が奏功することが多い.
腫瘍細胞は小型〜中型の成熟リンパ球様であり,しばしば形質細胞への分化を示す.骨髄浸潤の頻度は約20%とあまり高くはない.t(11;18)(q21;q21)/API2-MALT1は,MALTリンパ腫に特徴的な染色体異常である.
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