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増刊号 血液形態アトラス
Ⅰ部 造血器悪性腫瘍
5章 成熟B細胞腫瘍
7 慢性リンパ性白血病(CLL)
Chronic lymphocytic leukemia(CLL)
寺島 道子
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.980-981
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206182
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慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)は,小型で成熟した円形・類円形の核を有するBリンパ球がクローン性に増殖し,末梢血,骨髄,リンパ節,脾臓などに浸潤する疾患である.WHO分類第4版では,CLLは以下のように定義されている1,2).
①小型(球状から軽度核形不整)成熟型リンパ球の単クローン性増殖
②末梢血,骨髄,リンパ節,脾臓で増殖
③末梢血中に腫瘍性リンパ球が5×103/μL以上,3カ月以上持続
④組織内病変では増殖中心(前リンパ球・傍免疫芽球とともに)を形成
⑤腫瘍性Bリンパ球はCD5,CD23を共発現
⑥SLL(small lymphocytic lymphoma)の名称は,非白血病状
CLLは欧米では白血病の20〜30%を占めるが,わが国では2%以下とまれである.高齢者に多く,男性でやや多い.臨床症状では,末梢血白血球増多,貧血,リンパ節腫大,肝脾腫などを認める.臨床病期分類(Rai分類,Binet分類)は予後予測に有用である3).CLLは緩徐な経過をたどる疾患であり,早期の治療を行っても予後は改善しないため,進行性でない場合は無治療経過観察を行い,進行性と考えられる場合は化学療法を検討する.CLLの2〜10%はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に進展することがあり,Richter症候群と呼ばれ,予後不良である.
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