増刊号 血液形態アトラス
はじめに
pp.834
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206134
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血液細胞(血球)の検査の中心は,血球計数と血液像です.前者は自動血球計数器の進歩により装置に任せてよい部分が多くなってきましたが,後者に関しては,今でも,そして,これからも,検査室での鏡検が中心であり続けることは間違いありません.
我々の末梢血,さらには,骨髄液中の血球は,血球自体の疾患はもちろんのこと,感染症などを含む幅広い多くの疾患においても形態の変化が起き,その注意深い血液像の観察が重要な診断の糸口になることが少なくありません.この血液像の観察の重要性は,染色体・遺伝子検査,免疫学的検査など最新の分子生物学的手法・技術が診断に導入され,分子標的療法の目覚ましい発展がみられる造血器腫瘍においても同様です.形態学と遺伝子(ゲノム)情報が相補うものであることは,遺伝子異常を基礎にしたWHO分類の時代においても変わらず,また,これまでの血液学の流れを踏まえましても,診断・研究の入り口としての形態学の重要性は不変と考えられます.
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