臨床検査のピットフォール
ムーコル症診断のピットフォール
村山 そう明
1
1日本大学薬学部分子細胞生物学研究室
pp.724-728
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206004
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はじめに
ムーコル症起因菌のムーコル目(Mucolares)菌は,土壌,空中など環境中に多く生育しており,植物病原菌・共生菌として知られていた.白血病などの血液疾患,造血幹細胞移植,糖尿病,癌などの疾患をもつ易感染患者に好発する日和見感染症である.
ムーコル目菌は血管侵襲性が強く重症化しやすく,早期診断が困難である.特に肺ムーコル症は生前診断が困難で予後不良であり,ポリエン系以外に有効な抗真菌薬がない,などの理由から早期診断が望まれるが,その診断は極めて難しいとされる.アスペルギルス症とリスクファクター,CT所見などが類似し,治療薬が異なるため,その鑑別が重要である.
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