臨床医からの質問に答える
浮腫があるときは,神経伝導検査のデータに影響があるのでしょうか?
髙橋 修
1
,
髙橋 宣成
2
1市川市リハビリテーション病院臨床検査科
2東京都保健医療公社多摩北部医療センターリハビリテーション科
pp.718-723
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206003
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はじめに
神経伝導検査は,末梢神経の伝導状態を電気生理学的に評価することによって,その病態生理学的な背景を推定し,臨床診断の一助とすることを目的としています.①末梢神経障害の有無,②病態鑑別(脱髄,軸索変性など),③病変の分布状態の把握,④重症度と機能予後推定に有用とされています.手技や測定するパラメータによって,運動神経伝導検査(motor nerve conduction study:MCS),感覚神経伝導検査(sensory nerve conduction study:SCS),F波検査などに分類されます.いずれも,末梢神経に経皮的に電気刺激を加え,目的とする神経線維を興奮させることによって,神経や筋から誘発される活動電位を記録します.そして,記録された波形の潜時,振幅などのパラメータを計測します.刺激も記録も皮膚や皮下組織を通じて行われるため,浮腫の強い被検者においては波形記録が難しい場合があります.本稿では,神経伝導検査のMCSとSCSの基本原理を説明し,記録困難の理由と対処法について述べます.
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