臨床検査のピットフォール
凝固時間法においてデータに与える影響—各フィブリン塊検出法による利点と欠点
山下 昭一郎
1
,
池田 勝義
2
,
安東 由喜雄
3
1熊本大学医学部附属病院中央検査部
2熊本大学医学部附属病院医療技術部
3熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学分野
pp.430-432
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205919
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はじめに
プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)などの凝固線溶検査は,1980年代以前は用手法が主流であり,ストップウォッチを用いてフィブリン塊の出現を目視で確認していた.しかし,目視判定という主観的な要素が大きいため,データのばらつきが大きく,また検査者によるデータの差が問題であった.1980年代に入ると,検体と試薬の分注をマニュアル操作で行い,フィブリン塊の検出を自動化した半自動型の分析機が開発された.この分析装置の普及によって,目視判定という主観的な要素が取り除かれ,再現性の大幅な向上とともに,誰が検査を行っても同じデータを得ることができるようになった.
このようにフィブリン塊の出現を目視で確認していた方法から,フィブリン塊の出現による粘度の変化をスチールボールと磁石を利用して捉える機器が主流となった.さらに現在では,フィブリン塊の検出法として,上記の粘度変化検出法に加え,散乱光検出法および透過光検出法などの光学的検出法がある.今回は,凝固検査機器の凝固時間法におけるフィブリン塊検出法に的を絞り,これらの検出法の原理と特徴について述べるとともに,問題点についても解説する.
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