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ポイントオブケア検査(point of care test:POCT)は,患者やその近くで検査を実施する小型で簡易な検査装置で,測定技術の進歩に伴い,病院,クリニック,移動検診など,さまざまな医療現場で用いられるようになった.欧米では,医療現場だけでなく,薬局などによってPOCTの実施が一般化している.それを実感したのは,英国ロンドン市で開催されたISO(International Standardization Organization)の第212技術委員会(ISO/TC212)の会議に参加したときである.街を歩いていると,薬局(pharmacy)のドアに,「5 minute health check(5分間の健康チェック)」と書かれた大きな表示に気づいた.測定項目は,「血糖(空腹時),血圧,コレステロールで料金15ポンド」とある.今まで通り過ぎていた薬局の表示に気づいたのは,ISO/TC212会議でのPOCTに関する国際規格の議論に参加していたことにある.
ISO/TC212は,国際規格が医療機器や器具などの物品に限られていた保健医療分野の標準化において,医療システムとサービスにまで踏み込んだ専門委員会である1).その作業範囲は,臨床検査および体外診断検査システム分野における標準化とガイダンスで,品質マネジメント,分析性能,分析前と分析後の手順,検査室の安全,基準システムおよび品質保証を含む.ISO/TC212で作成した代表的な国際規格には,臨床検査室の信頼性と客観性の評価の基準として,ISO 15189(臨床検査室─品質と能力に関する要求事項)がある.この規格に基づき,臨床検査室の第三者認定が進められている.しかしながら,わが国の臨床検査室の第三者認定取得は,他の欧米をはじめとするOECD(Organisation for Economic Cooperation and Development)加盟国での“義務”と対照的に,臨床検査室の判断による“任意”であり,医療保険制度での規制や保険診療上の報酬などのインセンティブはない.
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