検査ファイル 機器
多点測光データの免疫比濁分析法への応用
松田 貴美子
1
1川崎医科大学病院中央検査部
pp.542-543
発行日 1988年6月1日
Published Date 1988/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205808
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免疫比濁法(turbidimetric immunoassay;TIA)では,まず水溶液内で,可溶性の抗原(被検物質)と対応する抗体が特異的に反応して混濁を生ずる.次いで,この混濁によって起こる透過率の減少が測光されて,被検物質の濃度が測定される.日常検査において,本法は免疫グロブリンをはじめ補体成分や各種血漿蛋白成分の測定に利用されている.しかし,測定法としては,従来の臨床化学検査の項目と異なり,検量線が直線にならないこと,また,その形状が被検物質の種類によって異なること,さらにプロゾーンや異常反応の検出と対応などの問題点が指摘されている.
これらの問題点を解決する一つの方策として,反応過程における多点測光方式の応用1)が考えられる.すなわち,この方式により得られる測光データに,回帰分析とデータ処理システム2)を適用すると,適正な標準曲線の作成,測定範囲の拡大,プロゾーンあるいは異常反応の検出が可能になる.ここでは,TIA法による免疫グロブリン測定の事例を取り上げ,検討して得た成績を中心に解説する.
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