病気のはなし
ヘリコバクター・ピロリ感染症
井上 和彦
1
1川崎医科大学総合臨床医学
pp.12-16
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205765
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Point
●ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)の慢性感染は幼小児期に成立するが,わが国における感染率は急速に低下している.
●ヘリコバクター・ピロリの慢性感染によって組織学的胃炎が生じ,胃粘膜萎縮が出現・進展する.
●ヘリコバクター・ピロリ感染に伴う炎症や萎縮を背景として,胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃癌など種々の上部消化管疾患が発生する.
●ヘリコバクター・ピロリは強力なウレアーゼ活性を有しており,それを利用した検査法〔迅速ウレアーゼ試験(RUT)・尿素呼気試験(13C-UBT)〕がある.
●簡便な血液検査であるABC分類で胃癌リスク診断,胃の健康度評価の把握が可能である.
●ヘリコバクター・ピロリ除菌に成功すれば,胃粘膜炎症の改善に伴い,胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発率が著明に低下し,胃癌発生リスクも1/2〜1/3に低下するが,過信は禁物である.
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