技術講座 生化学
リポ蛋白分画—高速液体クロマトグラフィーによる新しい分析法
岡崎 三代
1
,
原 一郎
2
1東京医科歯科大学教養部化学教室
2東京医科歯科大学教養部
pp.137-142
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205410
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血清中に含まれる脂質は,アポ蛋白質と呼ばれる蛋白質と結合した複合体を形成し,運搬されています.この複合体は"リポ蛋白質"と呼ばれ,いくつかの種類があります.したがって血液中の脂質成分を分析するうえで血中の総量を測定するだけでなく,リポ蛋白質として分画・定量することが重要です.また多くの疫学的研究により,高比重リポ蛋白質といわれるある特定のリポ蛋白質が増加すると,虚血性心疾患の発生率が低下するといわれて以来,この高比重リポ蛋白質の量が盛んに測定されるようになりました.
リポ蛋白質の分析法にはいくつかありますが,もっとも基本となる方法は比重の違いを利用した超遠心法です.しかしながら超遠心法は時間がかかること,血清が大量に必要なこと,比重を正確に調整したり分離した層を超遠心チューブからうまく取り出すなど高い技術が要求されます.したがって,少量の血清から短時間に容易に各リポ蛋白質分画を同時に定量する方法が要求されています.
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