感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[3]感染症の病理学的検査法
久米 光
1
,
畠山 恵子
1
1北里大学医学部病理学教室
pp.706-711
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205023
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はじめに
ヒトの疾病の中で質的にもっとも変貌したものの一つは,感染症であろう.この事実は,ヒトの病変を全身的な視野で確実にとらえることができる病理剖検例においても,如実に経験されつつある.
この変貌しつつある感染症,生体内外に広く分布する微生物によって惹起される感染症にあって,臨床的に特に問題となるのは,その病原菌がいったい何であるのか,という特定である.このための病原診断法には,各種臨床材料の培養検査法や免疫血清学的検索法あるいは病理組織学的検索法があるが,最近になって個々の方法に多少の進歩がみられるとはいえ,一般的には反復して行われる培養検査に依存せざるをえないのが現状であろう.しかし,培養成績の評価に際して病因論的考察に窮することはしばしば経験される.
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