マスターしよう基本操作A
真菌検査法
阿部 美知子
1
,
大谷 英樹
1
,
久米 光
2
1北里大学病院臨床検査部細菌
2北里大学医学部病理
pp.539-546
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205403
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真菌症は歴史的には皮膚科領域で早くから注目され,30数年前までは真菌症と言えば皮膚糸状菌症とCandidaによる鵞口瘡や間擦疹程度の認識でしかなかった.しかし,1950年頃から内臓真菌症が散見され始め,特に最近では多彩な病型を示す皮膚真菌症の増加や内科領域における真菌症の経年的増加などが注目されつつある1,2).現に日常微生物検査に携わっていると真菌症例に遭遇する機会は最近では決して少なくなく,今や真菌検査をぬきにして微生物検査は行い得ないのが現状であろう.いわゆる真菌症の起因菌には,①培養形態やその性状に特徴をもつ糸状菌類,②形態学的にほとんど差がなく一般に酵母あるいは酵母様真菌と呼称される菌群および,③分類学的には細菌類に属するが培養形態やその機能などからむしろ真菌に近い性状を示すいわゆる放線菌類,の三つに大別される.したがって真菌検査もこれら三つの菌群にそれぞれ適した方法がとられる,以下,これらの病原による真菌症の検査室内検査法について,塗抹(直接標本)―分離培養―同定について概述し,検査法上特に肝要と思われる所見について例示するとともに,スライドカルチャー法について概説する.
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