連載 産科臨床検査の実際・6
感染症の検査法(3)—妊婦のHBウイルス感染
石井 明治
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.471-474
発行日 1985年6月25日
Published Date 1985/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206659
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ウイルス性肝炎は,従来,糞便を介して経口的に感染する伝染性肝炎と,輸血後に発症する血清肝炎に区別されていた.ところが,ブルンベルグ(Blumberg)が,1964年にオーストラリア抗原(Au抗原)を発見してから,血清肝炎とAu抗原の関係が明らかにされ,伝染性肝炎はA型肝炎,血清肝炎はB型肝炎といわれるようになった.さらに,Au抗原が肝炎患者血清中にみられる抗原と同一のものであることがわかり,1973年のWHOの会議で、Au抗原をHB抗原(hepatitis B antigen)とよぶことが決定された.
HBウィルスの顕性感染は急性B型肝炎であるが,HBウイルスは慢性肝炎・肝硬変・肝癌にも関与しているといわれ,特に産婦八科領域では,HBs抗原をもちながら症状が現われない,いわゆるキャリア妊婦から胎児への垂直感染が問題となっている.現在,垂直感染を防止するため,抗HBSヒト免疫グロブリン(HBIG)が利用されており,B型肝炎ワクチンも近く発売される子定である.
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