技術解説
内臓真菌症の病原診断法とその評価
久米 光
1
,
阿部 美知子
2
,
木村 千恵子
2
,
奥平 雅彦
1
1北里大学・病理学
2北里大学臨床検査部・細菌室
pp.235-247
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914687
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近年,深在性あるいは内臓真菌症は逐年的に確実に増加の傾向にある1).内臓真菌症の発症と,近代医療による宿主の抵抗性減弱につながる因子の負荷競合とは極めて密接な相関性を有しており2),診断技術の向上と相俟って,今後ますます注目される感染症の一つとなろう.
内臓真菌症の確定診断は,反覆検索による原因真菌の検出と同定によってなされる.このことは細菌感染症の場合と同様である.真菌症の診断法として生検材料の病理組織学的検索は最も確実な方法の一つではあるが,組織片のサンプリングの仕方によっては組織内の病原真菌を見いだしえないこともあり,また,組織片の採取に際しては患者に苦痛を与えることになるので,反覆検索するというわけにはいかない.したがって内臓真菌症の診断には,喀痰,気管洗浄液,穿刺液及び血液など臨床材料の培養検査に依存するのが日常的である3〜5).
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