技術講座 病理
モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色のための脱灰法
森 士朗
1,2
,
京極 方久
1
1東北大学第一病理学
2東北大学歯学部第二口腔外科学
pp.1299-1303
発行日 1987年11月1日
Published Date 1987/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204322
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1975年,KöhlerとMilstein1)が細胞融合法を免疫学に導入して以来,さまざまな種類のモノクローナル抗体が開発されてきた.これらの抗体は,形態学的に同定が困難な細胞を識別するために組織学的な分野にも応用されるようになり,例えば,従来形態学的に識別が困難であったhelper T cell,cytotoxic T cell,あるいはsuppressor T cellなどのT cellのサブセットが組織切片上でも識別できるようになってきた.しかし,以上のような検索法を硬組織に対して応用する場合,硬組織標本から切片を作製する際に必要な脱灰操作が細胞の抗原性を失活させることになり,特に抗原性が失活しやすい細胞膜表面抗原の免疫組織化学的検索は,非常に困難なものであった.
そこで,最近筆者らは,硬組織標本に含まれるリンパ球やマクロファージなどの細胞膜表面抗原の免疫組織化学的検索を光顕および電顕的に可能にする脱灰法を開発した2〜4).本稿では,この脱灰法の手技を中心に解説し,いくつかの染色例を呈示する.
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